日本やイスラエルなど英語圏以外の企業の多くが、言語への不安からオフショア開発をためらっています。要件は正しく伝わるのか。会議は負担にならないか。小さな誤解が大きな手戻りにつながらないか。
どれも当然の不安です。ただ、私たちの経験では、プロジェクトの問題の多くは文法ではなく、あいまいな決定、人によって意味が違う用語、記録されなかった変更から生まれます。これらは進め方で解決できます。本記事では、その方法を日本とイスラエルの例とともにご紹介します。
言語の不安だけで、委託先の選択を決めてよいのでしょうか?
おすすめしません。言葉が通じるという理由だけで力の弱いチームを選ぶと、管理できるコミュニケーションの問題を、後から直せない品質の問題と交換することになります。プロジェクト全体で見れば、品質、技術力、誠実な進め方のほうが重要です。
現在は翻訳ツールやAIツールにより、日常的なやり取りは数年前よりずっと簡単になりました。確認すべきなのは「日本語が話せるか」ではなく、「全員が同じ理解を持てる仕組みがあるか」です。
「文書中心」のコミュニケーションとは、具体的にどういうものですか?
重要な内容を、会議の記憶ではなく文書に残すことです。文書なら、ゆっくり読み、翻訳し、社内で確認し、後から検索できます。第二言語で仕事をする側にとって、特に助けになります。
たとえば、詳細な要件定義書に慣れた日本企業は、その習慣をそのまま活かせます。要件を日本語で作成して翻訳し、質問は文書で返してもらいます。スピードを重視するイスラエルのスタートアップなら、機能ごとの短い要件メモと決定ログで十分です。
- 要件:1機能につき1ページ、短い文で、1行に1つの内容。
- 決定ログ:日付、決定内容、決定者、理由。
- 共通の用語集:業務用語ごとに意味を一つに決め、両方の言語で記載。
- 変更依頼:会議で口頭だけで伝えず、必ず文書で。
AIツールやビジュアルはどう役立ちますか?
AIを活用した会議では、リアルタイム翻訳や字幕を使い、終了後に要約とアクションアイテムを自動で作成できます。双方が自分の言語で要約を読み、聞き間違いがあれば修正します。会議の記憶ではなく、この要約を正式な記録にします。
ビジュアルを使えば、あいまいさはさらに減ります。クリックできるプロトタイプ、画面フロー、注釈付きのスクリーンショットは、意図をそのまま示します。日本の担当者が画面の項目に丸をつけてコメントを書けば、デザイナーもエンジニアも同じものを見られます。絵は文章よりも翻訳の必要がずっと少ないのです。
注意点として、翻訳ツールは専門用語や社内用語が苦手です。だからこそ用語集が重要です。用語の意味を一度決めたら、どこでも同じ意味で使いましょう。
時差にはどう対応すればよいですか?
時差は思ったより大きな問題になりません。インドは日本より3時間30分遅く、日本の午後はインドの午前にあたります。毎日、無理なく共通の作業時間を取れます。
なお、イスラエルの営業日は通常日曜日から木曜日で、インドと日本は月曜日から金曜日です。イスラエルとの共通の営業日は、通常は月曜日から木曜日になります。
- 質問や短い通話のために、1日2〜3時間の重なる時間を決める。
- デモ、優先順位、意思決定のための週次定例を固定する。
- 1日の終わり、または週に数回、短い文書で進捗を共有する。
- それ以外は、チケット、デザインへのコメント、録画した説明など非同期で進める。
- 緊急時の連絡方法を文書で決めておく。
全員が同じ理解をしているか、どう確認しますか?
最も効果的なのは「復唱(プレイバック)」です。要件の共有や会議の後、チームが理解した内容を自分の言葉で書いて返します。何を作るのか、何が対象外か、何が未決定か。作業開始前に、お客様が確認・修正します。
最初は時間がかかるように感じますが、誤解を数週間後ではなく数分の段階で見つけられます。細部を丁寧に確認する日本のビジネス文化にも合っています。
もう一つの習慣は、早めに見せることです。小さな単位でデモを行えば、大きなリリースのずっと前にズレが見えてきます。
委託先候補には何を質問すべきですか?
具体的な質問をして、具体的な答えが返ってくるかを確認しましょう。言語を越えて仕事ができるチームは、自分たちの方法をすぐに説明できます。
- 要件や決定事項はどのように記録し、どこで管理していますか?
- 実際に作業する担当者と直接話せますか?それともマネージャー経由だけですか?
- 翻訳付きの会議、要約、非同期の報告にはどんなツールを使っていますか?
- 日本時間と重なる作業時間は何時から何時ですか?返信はどのくらいで来ますか?
- 開発前に、要件を正しく理解したことをどう確認しますか?
- コードを書く前に、プロトタイプやデザインを見せてもらえますか?
Devnoriは言語や時差をどう乗り越えていますか?
Devnoriは、インドを拠点とする少人数のシニアなプロダクトデザイン・開発チームで、世界中のお客様とリモートで仕事をしています。日本やイスラエルに拠点はなく、日本語やヘブライ語のネイティブスタッフがいるわけでもありません。その代わりに、文書中心の要件定義と決定記録、リアルタイム翻訳と要約を使ったAI活用の会議、プロトタイプや画面フローによるビジュアルなコミュニケーションで進めます。
まず初回の打ち合わせでビジネスの目的を伺い、進め方、関わるメンバー、必要なことを率直にまとめたご提案をお出しします。開発中は週次の定例、非同期の進捗共有、実際に作業するデザイナーやエンジニアへの直接の連絡手段をご用意します。契約形態は、範囲を決めた受託開発型の「Project」と、ラボ型開発に近い「Extended team」から選べます。返信は平日24時間以内です。
すべての企業に合うわけではありません。毎回の会議をネイティブの日本語で行いたい場合や、オフィスに常駐するメンバーが必要な場合は、国内の開発会社のほうが適しています。その場合は早い段階で正直にお伝えします。