イスラエルの創業者の多くは、開発を社内で行うことを好みます。現地のエンジニアは優秀でプロダクトをよく理解しており、投資家も強い社内チームを評価するためです。しかし、イスラエルのシニアエンジニアは採用が難しく、人件費も高額です。正社員を採用する前に、まず何かを形にしなければならない場面も少なくありません。
この記事は、外部チームの活用を検討しているイスラエルのスタートアップの創業者、CTO、R&D責任者に向けたものです。日本でイスラエル企業と協業している方にも参考になるよう、外部委託が有効な場面と逆効果になる場面、契約形態とパートナーの選び方、時差と稼働日の違いへの対応、成果物の所有権の守り方を整理しました。
外部委託が有効なのはどんな場面ですか
外部委託が最も効果を発揮するのは、作るものを説明できる程度に要件が明確で、目的がスピードや社内にないスキルの確保である場合です。よくあるケースは次のとおりです。
- MVPや初期バージョン:本格的なチームを作る前に、ユーザーや投資家に実際に触れてもらえるものが必要な場合。
- 採用前の検証:正社員を増やす前に、新しいプロダクトや市場が成立するかを確かめたい場合。
- 不足しているスキル:iOS・Androidのネイティブ開発、プロダクトデザイン、AI・自動化、クラウド・DevOpsなど、1人では足りず、複数人の採用は過剰な場合。
- 一時的なリソース不足:大型リリースや大口案件、メンバーの不在など。イスラエルでは予備役の招集で主要メンバーが急に数週間離れることもあります。外部チームが加わることで、残るメンバーに負担を集中させずにロードマップを進められます。
- デザインと開発の一体化:UX・UIと開発を、別々の委託先を管理せずに進めたい場合。
社内で開発すべきなのはどんな場合ですか
企業価値の源泉となる部分は外部委託すべきではありません。独自のアルゴリズム、セキュリティエンジン、データモデル、深い業界知識が競争力の中心であれば、自社チームが長期にわたって理解し、保有する必要があります。資金調達時のデューデリジェンスでも必ず確認される点です。
また、課題そのものがまだ曖昧で毎日のように変わる場合、社内にプロダクトの判断をする時間のある人がいない場合、現地常駐が必要な場合も、外部委託には向きません。信頼できるパートナーであれば、最初の打ち合わせの段階でそう伝えてくれるはずです。
目安は「説明でき、検証できるものは委託し、発明して守るべきものは社内に残す」ことです。コア部分は社内チームが担い、その周辺のアプリ、管理画面、外部連携、社内ツールをパートナーが開発するという分担も一般的です。
現地採用と比べてコストはどう違いますか
イスラエルのシニアエンジニアの人件費は、米国以外では最も高い水準の一つです。正社員を採用すれば、採用にかかる期間、福利厚生、機材、長い退職予告期間も伴います。インドの経験豊富なチームは、同程度のシニアリティでも月額コストが大幅に抑えられることが多く、必要な期間だけ費用を払えば済みます。
ただし、本当のコストは単価ではありません。どれだけ実際に動くプロダクトが得られるか、そして管理にどれだけ自社の時間を取られるかです。修正指示が絶えない安価なチームは、結果的に高くつきます。単価だけでなく、実際に作業する人のシニアリティ、コミュニケーションの明確さ、管理の手間の少なさで比較することをおすすめします。
プロジェクト型と拡張チーム型、どちらを選ぶべきですか
外部チームとの代表的な進め方は2つあります。作るものがどれだけ明確か、どのくらいの期間支援が必要かで選びます。
- プロジェクト型:定義したスコープを最初から最後まで任せる受託開発の形です。MVP、新規アプリ、リデザインに向いています。最初に目標を合意し、デザイン、開発、テスト、引き継ぎまでをパートナーが担当します。
- 拡張チーム型:自社の開発チームと並んで、月単位で柔軟に稼働する形です。日本でいうラボ型開発に近く、JiraやLinear、Slack、朝会、スプリントレビューなど自社のツールと進め方にそのまま加わります。ロードマップが継続し、優先順位が変わりやすい場合に向いており、月ごとに人数を増減できます。
- よくある進め方:まず小さなプロジェクトで相性を確かめ、うまくいけば拡張チームに移行します。
時差と稼働日の違いにはどう対応すればよいですか
インドは夏時間をとらないため、イスラエルの夏時間中は2.5時間、冬時間中は3.5時間、インドが先行します。インドのチームが10時に始業するとイスラエルは6時30分または7時30分、19時に終業するとイスラエルは15時30分または16時30分です。イスラエルの勤務時間の大半が重なります。
より大きな違いは稼働日です。イスラエルは日曜から木曜、インドのチームは通常月曜から金曜に働きます。共通の稼働日は月曜から木曜で、次のように計画します。
- 週次の定例ミーティングやスプリント計画は月曜か火曜に設定し、日曜や金曜には入れない。
- 日曜はイスラエル側の時間として、金曜に納品された内容の確認、フィードバック、優先順位の整理に充て、月曜朝にチームがすぐ動けるようにする。
- 金曜はパートナー側が開発に集中する日とし、週末のまとめを書面で共有して日曜に確認できるようにする。
- 決定事項は会議だけでなくチケット管理ツールに記録し、次の会議を待たずに進められるようにする。
- 共通稼働日以外に本番障害が起きた場合の緊急連絡ルートを事前に決めておく。
パートナー選びで確認すべき点と、所有権の守り方
営業担当だけでなく、実際に作業するメンバーと話す機会を求めましょう。そのうえで、次の点を確認します。
- シニアリティ:誰が担当し、その人が継続して関わるのか。
- 実績:自社のプロダクトに近い事例があり、実際の画面と担当範囲が説明されているか。
- コミュニケーション:書面での進捗共有、エンジニアへの直接アクセス、1営業日以内の返信があるか。
- 所有権:コードは自社のGitHubやGitLabの組織で管理し、クラウド、アプリストア、外部サービスのアカウントは初日から自社名義で開設する。
- 契約:知的財産権の自社への帰属、NDAの締結、ロックインにつながる条項がないこと。
- 品質:コードレビュー、自動テスト、リリース前のQA、自社からアクセスできる検証環境があるか。
- 引き継ぎ:ドキュメント、アーキテクチャの説明、引き継ぎセッションがスコープに含まれ、将来の社内チームや別の委託先がゼロから始めずに済むか。
Devnoriの進め方
Devnoriは、少人数のシニアメンバーで構成されるプロダクトデザイン・エンジニアリングスタジオです。チームはインドを拠点に、リモートで世界中のクライアントと仕事をしており、Webプラットフォーム、モバイルアプリ、社内ツールなど60件以上のプロジェクトを手がけてきました。UX・UIデザイン、フロントエンド、バックエンド、iOS・Android、クラウド・DevOps、AI・自動化、QA、プロダクト思考の8つの役割を一つのチームで担うため、デザイン会社と開発会社の間で引き継ぎが発生しません。
まず打ち合わせでビジネス上の目標を伺い、進め方、関わるメンバー、必要な体制を正直にまとめた提案をお送りします。料金は公開しておらず、すべての案件は最初の打ち合わせの後に見積もります。プロジェクト型と拡張チーム型のどちらでも、週次の定例、非同期での進捗共有、実際に作業するメンバーへの直接アクセスを提供します。私たちは月曜から金曜に稼働し、イスラエルの週に合わせて月曜から木曜の共通時間を計画します。コードとドキュメントの引き継ぎも作業の一部です。
Opticdigit、TrainFoxx、Securelyzeなど自社プロダクトも開発・運用しているため、リリース後もプロダクトを動かし続ける大変さを理解しています。ご相談の内容が社内で開発すべきコア技術であれば、早い段階でそうお伝えします。ご相談は hello@devnori.com までお送りください。平日24時間以内にご返信します。